大腸カメラ検査でわかる病気
大腸は、小腸で消化吸収された食べ物の残りの水分を吸収して大便に加工する器官です。長さは1.5〜2mほどあり、肛門に至るまでに便が固形になっていきます。
大腸の病気が疑われる場合に、肛門からスコープを挿入し、大腸の内壁を見て診断するのが大腸カメラ(下部内視鏡)検査です。
大腸カメラは、特に大腸がん(結腸がん・直腸がん)の早期発見に最も有効な検査方法です。
その他、難病指定の潰瘍性大腸炎や、炎症性腸疾患(クローン病)、潰瘍性大腸炎、大腸憩室症、虚血性腸炎など、大腸カメラでわかる病気は多岐にわたります。
通常の健康診断では発見されにくい過敏性腸症候群も診断できます。
早期発見により投薬治療できる病気も多いので、恥ずかしがらずに受診しましょう。

大腸カメラ検査はどんなときに必要?
大腸がん検診の結果が陽性となったとき、あるいは大腸の症状に対して治療の効果がなく医師が必要と判断したときに、大腸カメラその他の精密検査を行います。

大腸カメラその他の精密検査の流れ
大腸カメラ(下部内視鏡)検査を受けるためには、あらかじめ腸管洗浄剤(下剤)で大腸の便をすべて出しておく必要があります。

大まかな流れとしては
- 事前に下剤を飲んで大腸の中をきれいにする
- 肛門から細いスコープ(内視鏡)を大腸の奥まで挿し入れる
- スコープを抜きながら観察する
- ポリープがあれば(切除可能な場合は)切除する
といった流れになります。
大腸カメラ検査用の検査着に着替え、ベッドに横向きになって検査を行います。
検査時間は15分ほどです(大腸の長さや状態により個人差があります)
検査3日前〜前日:食事内容に注意
・検査の3日前から
下記の「食べてはいけないもの」は控えてください。(消化しにくい食べ物は排泄までに3日かかることがあるため)
・前日の食事
朝・昼・夕食ともに消化に良いもの(下記の「食べて良いもの」)を選び、夕食は軽めにして20時までに済ませてください。
水やお茶は20時以降も飲んで構いません。
検査前日に食べて良いもの、ダメなもの
検査時、大腸に食べ物が残っていると検査不能となることがあります。下記の「食べてはいけないもの」は絶対に食べないようにお願いします。
○ 食べて良いもの
(食物繊維が少ない、脂分が少ない、消化が早いもの) |
✕ 食べてはいけないもの
(食物繊維が多い、脂分が多い、消化が遅いもの) |
|
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麺類 | うどん、そうめん、冷麦、米粉麺(ビーフン、フォーなど) | 蕎麦、ラーメン、パスタ類、中華麺、緑豆春雨 |
ご飯類 | 白米、おかゆ、餅(豆やよもぎが入っていないもの) | 胚芽米、発芽玄米、雑穀米(黒米、赤米、キビ、ヒエ、ハト麦、大麦など) |
パン類 |
食パン、ロールパン、フランスパン、米粉パン、蒸しパン(種子やドライフルーツが入っていないもの)
※バターやマーガリン、ジャムはつけない サンドイッチ(卵やツナなど消化に良い具のもの。野菜は避ける) |
全粒粉、胚芽、ブラン、ライ麦が入っているパン
菓子パン・惣菜パン(あんぱん、ジャムパン、揚げパン、クロワッサン、デニッシュ、揚げパン、野菜サンドなど) ハンバーガー |
魚介類 |
たい、ひらめ、たら、かれい、鮭など(脂肪の少ない白身魚)
はんぺん、ちくわ、かまぼこ、魚肉ソーセージなど(すり身製品) |
サバ、アジ、サンマ、イワシ、ブリ、ウナギなど(脂肪の多い青魚)
マグロ(トロ)、干物、貝類、タコ、イカ、エビ、カニ、魚卵 |
肉類 |
鶏ささみ、鶏むね(皮を除く)、鶏もも(皮を除く)
豚ヒレ肉、豚もも肉 牛ヒレ肉、牛もも肉、牛肩肉など (脂肪の少ない赤身肉) モモハムもOK |
鶏手羽肉、鶏皮
豚バラ、肩ロース 牛バラ、ロース、サーロイン ベーコン、ソーセージ、ロースハム ホルモン |
野菜・果物 |
ジャガイモ、長芋
バナナ(熟したもの)、りんご(皮を除く) |
食物繊維の多い野菜全般(葉物野菜、根菜類、トマトなど種のある野菜)
種のある果物類(スイカ、メロン、いちご、キウイなど) 芋類(ジャガイモ、長芋以外) |
その他 |
卵、卵豆腐、豆腐、こうや豆腐、湯葉、麩
プリン、ゼリー、飴 味噌汁(具は消化に良いもの) |
キノコ類全般
海藻類全般 豆類全般 乳製品全般(バター、チーズなど) 乾物(切り干し大根など) 薬味類(ねぎ、しょうがなど) コンニャク、こんにゃくゼリー おから、胡麻、ナッツ類 揚げ物 コーンフレーク ジャム スナック菓子、ケーキ |
飲み物 |
水、お茶、ジュース
コーヒー、紅茶(砂糖はOK、ミルク・レモンはNG) |
青汁、野菜ジュース、スムージー
果肉入りジュース 牛乳、ヨーグルト、その他乳飲料 アルコール |
当日の検査の流れ
当日朝:絶食、下剤服用
朝食は抜いて、ご自宅で液体の下剤を約2L飲んでいただきます。
指定の時間までに来院していただき、検査の準備を行います。
排便が不十分な場合は下剤の追加や坐薬で促します。
午後:検査
検査は午後からです。便が透明になれば検査を開始します。
検査は、腸が短く、病気がなければ15分程度で終了します。
腸が長い人や、ポリープがある場合はさらに時間がかかることがあります。
1cmくらいまでのポリープは、検査中に切除することが可能です。
※ポリープの形や悪性度によっては切除不可能なことがあります。また、血がサラサラになるお薬を内服中の場合、切除できないことがあります。
検査後:安静、検査結果の説明
検査後は別室で30分〜1時間程度安静に過ごしていただきます。
その後、診察室にて医師が大腸カメラで撮影した画像をお見せしながら検査結果を説明します。
ポリープを切除した場合、1週間程度は飲酒や激しい運動はNGとなります。
大腸カメラ検査のご予約について
まず外来受診にて医師による診察の上で、後日の検査予約をお取りいただきます。